2019年の目標

温故知新の解説 - 三省堂 新明解四字熟語辞典

 

おんこ-ちしん【温故知新】

前に学んだことや昔の事柄をもう一度調べたり考えたりして、新たな道理や知識を見い出し自分のものとすること。古いものをたずね求めて新しい事柄を知る意から。▽「温」はたずね求める意。一説に、冷たいものをあたため直し味わう意とも。「故ふるきを温たずねて新あたらしきを知る」または「故ふるきを温あたためて新あたらしきを知る」と訓読する。
出典
論語ろんご』為政いせい
用例
たとい其の陽は一意専念過去を想うように見えたるも其陰は所謂いわゆる温故知新の沙汰さたにて未来の料にとてすることなり。<坪内逍遥・春廼家漫筆>
 
 
2019年の目標は、「温故知新」である。
古いものを知ることで、かえって新しいことを知る。とても素敵な言葉だと思う。
 
東京に出て、前職で3年間駆け抜けてきた。新しいことを知る日々だった。辛いこともたくさんあったが、辛いという理由だけで辞めること、また会社に対して何の貢献もできていないと感じている間に辞めることは、逃げることと同義だと捉えていた。逃げることだけはしたくなかった。変なプライドもあったし、中途半端な責任感と大きな帰属意識、組織への愛が私をそうさせていた。毎日は、まさに心が亡くなるように忙しかったが、充実感はあった。毎日新しい経験をし、成長していることを感じていた。一生懸命頑張る仲間たちがいた。自分もそうなりたかった。
退職をしたのは、このまま同じように新しいことを吸収していくのではなく、地に足をつけてじっくりと仕事に取り組みたいと思ったからだ。
転職をしてから、たくさんの気づきがあった。その中でも一番大きかったのは、3年間ひた走って、距離としてはかなり前に進んだにも関わらず、その最中に外の景色を眺めてこなかったことだった。これはかなりの衝撃だった。目から大量の鱗がバリバリと剥がれ落ちていった。好きなもの、嫌いなこと、自分は今後どうしていきたいか、どんな女性になりたいか、など、自分自身について考え、時間をかけることを置いてけぼりにしてしまっていた。私は、私自身に対して、浦島太郎のようであった。心だけが大学生から成長していなかった。
 
退職をしてから私は、3年間を取り戻すように、昔の私の趣味をなぞった。
旅行に行き、アニメを見て、映画を見て、人と会い、人と会わない時間を作り、自分の考えをまとめる文章を書いた。過去に好きだったことをどんどん拾い集めた。それは作業のようであり、リハビリのようでもあった。私は枯れつつあった心に、たっぷりと水を与えた。同時に、3年以上前からやりたいと思っていたことを始めた。料理、着付け教室、ランニング、英語の勉強。やってみて、楽しくないこともあった。それを知ることすら、楽しかった。
 
 
私にとっての温故知新は、「昔の自分、今までの自分を知ることで、新しい、今後のなりたい自分を知ること」である。私は何が好きなのか?なぜ好きなのか?どうしてそうなったのか?今後どうしていきたいのか?どんな自分になりたいのか?古い自分を知り、理解することで、新しい自分を知る。また、自分の今できること・得意なことを、新しいことと結び付ける。そんな一年にしていきたい。
 
 
今年も一年、ありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。